尚円王生誕五八0年を記念し、尚円王ゆかりの地にふさわしく、「尚円王御庭公園」が平成八年度に開園しました。若者定住促進事業の一環として平成六年から整備が進められ、村民の心のよりどころとして親しまれてきた聖地が、歴史公園に生まれ変わりました。 公園は、尚円王のへその緒を埋めたといわれている「みほそ所」を中心に、尚円王が生まれたときに産湯をつかったといわれる「潮平井」も修復され、村出身の版画家・名嘉睦稔氏制作による若き日の金丸(尚円王)像が建立されています。 園内は、あふれんばかりの緑と満々と水をたたえた池を配し、赤瓦屋根の管理棟など、遥か王国時代の御庭を思わせる環境を整え、自然にふれながら歴史散策が楽しめます。また、開園と同時に、尚円王の波乱な生涯を壮大なドラマとして蘇らせた民族音楽「史曲 尚円」(原案/高良倉吉、作曲/普久原恒勇、演奏/響の会)が演奏されました。その模様は全国放映され注目を浴びました。また、尚家第二十二代当主・尚 裕氏により本村に在する伊是名城跡や伊是名玉御殿が無償贈与され、歴史の島を厳かに飾りました。 こうした村の計画趣旨が認められて一九九七年度、建設省主催の手作り郷土を受賞しました。
伊是名村内には、約2500〜3000年前の土器片等が発見されているのをはじめ、数多くの貝塚や遺跡が確認され、島のあちらこちらから古代人の息づかいが聞こえてきます。 また、伊是名は、第二尚氏王統の始祖、尚円王生誕の島として、他の島では見られない貴重な史跡や文化財が遺されています。伊是名村ふれあい民俗館は、こうした先人たちが残した文化遺産を後世に正しく伝えるために、平成二年度国土庁のリフレッシュふるさと推進モデル事業の一環として開館しました。 民俗館では、約二千点にのぼる資料を収めており、貝塚時代から古琉球、近世琉球、近代沖縄に至るまで、人々の暮らしを鮮明に浮かび上がらせる貴重な品々を、歴史・民俗・考古に分けて展示しています。特別コーナーでは、王家ゆかりの銘苅家収蔵品として、国王や王族から賜わった贈り物をはじめ、公事清明祭に用いる色鮮やかな道具類などが、琉球王朝の栄華を今に伝えています。考古コーナーでは、沖縄でも珍しい具志川島で発掘された貝輪着装人骨をはじめ、約二五00年前の竪穴式住居後の断面、さらに伊是名城跡から出土した海外交易を物語る陶器片など、貴重な資料が展示されています。民俗コーナーでは、近代沖縄の人々の暮らしぶりが伺えるサバニや脱穀機などが多数展示され、小・中学生の郷土学習の場として大いに寄与しています。こうした展示にあわせて、伊是名の生活・民俗・歴史が一目でわかるようにビデオでの解説も行っています。
1993年5月11日、字仲田の西側集落のはずれ、仲田貝塚に隣接する切り通しの台地で、偶然発見された縄文時代晩期(約2500年前)の竪穴式住居跡。暗褐色の部分に土器、石器、礫が堆積している。ほぼ完全な形で発見されるのはきわめて稀で周辺を中心にまだ他にも遺跡が現存している可能性がきわめて高い。上の写真は遺跡の表面を特殊技法ではぎ取り、民俗館内に展示したものです。 |